ある朝、目が覚める直前に、不思議な夢を見ました。
ふわふわと空を舞う蝶になって、風に乗りながら花の間を軽やかに飛んでいるのです。
「なんだか、心が自由だなぁ」と、夢の中でそう感じていました。
目が覚めた後に、ふと頭をよぎった言葉が「胡蝶の夢」。
胡蝶の夢とは、中国の古典『荘子(そうし)』に登場する有名な逸話です。
荘子という哲学者が、夢の中で蝶になって楽しく舞っていたけれど、
目が覚めてみると「自分は荘子だった」。
でもふと考える。「今の私は本当に荘子なのか?もしかすると、蝶が荘子の夢を見ているのでは?」
現実と夢の境が、あいまいになるこの話。
昔から多くの人が、心を動かされてきたのも、なんとなくわかる気がします。
夢と現実のあいだで、ふと立ち止まる
年を重ねると、時間がゆっくり流れていくように感じることがあります。
若いころのように忙しさに追われることも減り、一人の時間や、静かな朝が愛おしくなる。
そんなとき、ふとした夢や、子どものころの記憶、遠い昔の思い出がよみがえることもあるのではないでしょうか。
その感覚は、もしかしたら「胡蝶の夢」とどこか似ているのかもしれません。
目に見える現実だけがすべてではなく、心が感じる世界も、きちんと“現実”として存在しているような気がするのです。
胡蝶の夢が教えてくれる「心の余白」
私たちは、つい「現実的であること」が大事だと考えがちです。
生活、お金、健康、将来の不安……。
けれども、ときには夢のようなことを大切にしてみるのも、心を整えるうえで、とても大事なことだと思います。
「これはただの夢」と切り捨ててしまうのではなく、そこから何かを感じたり、自分に問いかけたりしてみる。
それが、人生をより豊かにするヒントになるのではないでしょうか。
忙しい時代だからこそ、「夢見る心」を忘れずに
スマホ、ニュース、SNS…
たくさんの情報に囲まれて、常に“何かをしなくては”と思ってしまうこの時代。
でもだからこそ、立ち止まって考える時間が、より一層大切になるのだと思います。
夢を見た朝、昔の記憶にふれた夕方、静かに目を閉じる夜──
そうした時間の中に、「心の余白」はそっと現れます。
「胡蝶の夢」のように、少し現実から離れた感覚を持つことで、日々の暮らしにも新しい視点が生まれてくるかもしれません。
さいごに
胡蝶の夢は、現実と夢の境をゆるやかに溶かしてくれます。
それは、まるで深呼吸のように、心を静かにしてくれる時間。
目の前の現実を大事にしながらも、ときには夢のような時間に、身をゆだねてみてはいかがでしょうか。
それはきっと、あなたの心にゆとりをもたらす「贈り物」になるはずです。