かつての私は、ずっと何かに追われていた気がします。
朝は満員電車、日中は仕事のプレッシャー、夜はSNSで誰かの成功を見て落ち込む。
「自分ももっと頑張らなきゃ」と肩に力が入り、心がどんどん疲れていきました。
休日もぼーっとスマホを見ては、不安ばかりが膨らんでしまう。
「このままで本当にいいのかな?」 そんな問いが、いつも頭の片隅にありました。
「焦らなくていい」と気づいたきっかけとは
そんな私に転機が訪れたのは、職場での人事異動でした。
新しい部署に馴染めず、仕事もうまくいかず、自信をすっかり失ってしまったのです。
朝起きてもやる気が湧かず、気がつけば、ただ時間に流されていくだけの日々を過ごしていました。
けれども、働かないわけにはいかない。どうにか出社しながらも、心は限界に近づいていました。
そんなある日、たまたま立ち寄った書店で2冊の本に出会いました。
- 真面目で頑張りすぎる人に向けて「ちゃんとしなくていい」と優しく語りかけてくれるエッセイ集
- 「他人と比較しない」「悩みに飲み込まれない」ための実践的なヒントが詰まった自己啓発本
その本の中の言葉たちが、私の心にすっと入り込んできたのです。
「自分を苦しめていたのは、誰でもない自分自身だったんだ」と、目が覚めるような思いがしました。
自分らしい暮らしを取り戻す朝の習慣
それをきっかけに、私は自分の暮らし方を見直し始めました。
まず手をつけたのは「朝の過ごし方」。
それまでは、目覚ましの音に急かされるように起き、スマホでSNSをチェックして、焦る気持ちで一日をスタートしていました。
今は、心地よい音楽を流しながらゆっくりとコーヒーを淹れることから朝を始めます。
スマホにはすぐ触らず、まずは深呼吸をして空を眺める。
たったそれだけのことで、心のざわつきが静まり、自分にとって大切な「今」に意識を戻すことができるようになりました。
朝の時間を丁寧に過ごすことで、その日一日が穏やかになるのを実感しています。
また、SNSの利用も大きく見直しました。
他人のペースに巻き込まれそうなときは、思い切ってアプリを開かず、自然の音を聞いたり、本を読んだりする時間に充てるようにしています。
他人と比べない暮らしがもたらす心の余白
「他人と比べない暮らし」を意識するようになってから、心の中に少しずつ静けさが戻ってきました。
かつての私は、「他人よりも成果を出さなければ」「常に成長していなければ」と、見えない競争に巻き込まれていました。
でも、他人と比べるのをやめると、競争しなくてよくなります。
競争しなければ、焦らなくてよくなります。
焦らなければ、自分の本当の心の声に耳を傾ける余裕が生まれます。
今の私は、「自分にとって心地よい暮らしとは何か?」を大切にしています。
完璧じゃなくていい。効率ばかり求めなくていい。
「スローライフ」とは、ただのんびりすることではなく、自分の価値観に正直に生きること。
それが本当の意味での豊かさなのだと、ようやく気づくことができました。
焦らない生き方を選ぶために
もし今、あなたが「このままでいいのかな」「もっと頑張らないと」と、他人と自分を比べて苦しくなっているなら……。
どうか、ほんの少しだけ立ち止まってみてください。
焦って何かを得ようとするのではなく、あえて「手放す」ことで、心が軽くなることもあるのです。
私が手放したのは、「他人と比べる習慣」「完璧であろうとするプレッシャー」「常に前進しなければという思い込み」でした。
それらをそっと脇に置いたとき、見えてきたのは、「今この瞬間を大切にすること」の尊さ。
焦らず、比べず、自分らしく。
のんびりした生き方を選ぶことで、人生はもっとやさしく、もっと豊かに変わっていきます。
のんびりおじさんは、そんな日々を今日も静かに楽しんでいます。
あなたにも、そんな穏やかな日々が訪れますように。