最近、80歳になる父が突然大きな声を出したり、ちょっとしたことで怒るようになってきた。
昔は穏やかだったのに、なんだか様子が変わった気がする…。
そんなふうに、ご家族の「変化」に気づいて戸惑っている方は、きっと少なくないと思います。
「これって、もしかして認知症?」「でも、年相応の変化かもしれないし…」
はっきりとはわからないけれど、なんだか気になってしまう。
今回は、そんなときに私たち家族ができること、心に留めておきたいことについて、お話ししていきたいと思います。
目次
小さな変化に気づくこと
認知症は、ある日突然現れるわけではありません。
日常の中のささいな違和感――
- 急に怒りっぽくなった
- 同じ話を繰り返す
- 予定をよく忘れる
- 家事や趣味への関心が薄れてきた
こうした変化は、認知症の初期に見られます。
(加齢による自然な変化の一部という可能性もあります。)
だからこそ、「違いに気づけた」こと自体が、とても大切な一歩なのです。
気にしすぎなくて大丈夫。でも、小さな変化を見逃さないこと。それが支えのはじまりです。
認知症かな?と思った時の相談先は、下記のサイトが参考になります。
テヲトル 認知症ポータルサイト
否定しない、責めない。まずは“寄り添う姿勢”を
変化に気づいたとき、つい「何度も同じこと言ってるよ」や「そんなことで怒らないで」と、指摘してしまいがちです。
でも、その言葉がご本人を傷つけたり、不安を増してしまうこともあるのです。
そんなときは、「責めるよりも共感」を意識してみてください。
たとえば――
×「また忘れたの?」ではなく
○「大事なことだから、もう一回一緒に確認しようか」
声のトーンをやさしくするだけでも、安心感につながります。
私たちにできる最初のサポートは、“安心していいんだ”という雰囲気をつくることかもしれません。
私たちにできる5つのサポートのかたち
ご本人の変化に気づいたら、無理なく始められるサポートを少しずつ取り入れてみましょう。
① 一緒に話す時間をつくる
日々の会話は、記憶や感情を保つ力にもつながります。テレビを観ながらでも、昔話でもOK。
② 予定や物の場所を「見える化」する
カレンダー、メモ、写真、ラベルなどを使って、忘れても思い出せる工夫を。
③ 自尊心を大切にする
「できていること」を見つけて伝えることで、本人の自信と気力を保てます。
④ 身のまわりを整える
転倒しやすい家具の配置や、ストレスになる物音・照明などを見直すのも大切です。
⑤ 専門家につなぐ
かかりつけ医に相談したり、地域包括支援センターで情報をもらったり。ひとりで判断しなくて大丈夫です。
気軽に相談できる場所があることを、どうか忘れないでくださいね。
家族も無理しすぎないで
認知症かもしれない…そう感じると、ご家族自身も悩みや不安を抱え込みがちです。
ときには「もっと早く気づいてあげれば…」「私の接し方が悪かったのかな」と、自分を責めてしまう方もいます。
でも、忘れないでほしいのは――
あなたが気づき、寄り添おうとしたその気持ち自体が、何よりの支えだということです。
そして、家族だけで頑張る必要もありません。
地域包括支援センター、保健師、ケアマネジャーなど、頼れる存在はたくさんあります。
「ちょっと話を聞いてほしい」からでも大丈夫。
ぜひ一歩を踏み出してみてくださいね。
おわりに
「家族が認知症かも」と感じる瞬間は、不安や戸惑いがあって当然です。
でも、慌てなくて大丈夫。変化に気づき、思いやる気持ちがあるなら、それだけでもう十分なスタートです。
私たちにできることは、何も特別なことではありません。
一緒に笑う、一緒に考える、一緒に過ごす
そのひとつひとつが、心のつながりを育ててくれます。
どうか、ご自身の心も大切にしながら。
「今、できること」をひとつずつ積み重ねていけますように。