現役世代のころは「働いていればなんとかなる」と思えていた家計も、
定年が近づいてくると、ふとしたきっかけで頭をよぎるのが老後の生活資金。
ニュースでは「老後2,000万円問題」が話題になったこともあり、
「そんなに必要なのか?」「実際に何にそんなにかかるのか?」
と不安を感じた方も多いのではないでしょうか。
私自身も、定年前後の暮らし方を意識するようになってから、
「今の生活は老後に無理なく続けられるのか?」と考えるようになりました。
今回は、老後の生活費の内訳や備え方を、できるだけわかりやすく整理してみます。
ひと月あたりの生活費の目安(単身世帯の例)
老後の暮らし方は人それぞれですが、単身世帯の支出は、
月13万円〜15万円前後がひとつの目安になると言われています。
ただし「どんな生活をしたいか」「持ち家か賃貸か」「車の有無」などによって大きく変わります。
ここでは、都市部近郊に持ち家で一人暮らしをしているシニアのモデルケースを例に、内訳を見てみましょう。
モデルケース:月額支出の一例(持ち家・ローン完済済)
項目 | 月額目安(円) | コメント |
---|---|---|
食費 | 35,000 | 自炊中心+たまに外食や冷凍食品など。 |
住居関連費 | 12,000 | 固定資産税、管理費、保険などの維持費。 |
光熱水道費 | 15,000 | 季節によって変動あり。節電で調整可。 |
通信費 | 8,000 | スマホ+インターネット。格安SIMの活用も。 |
医療・保険費 | 10,000 | 通院・薬代・定期検診など。体調により変動。 |
日用品・雑費 | 7,000 | 洗剤・トイレットペーパーなどの生活用品。 |
趣味・娯楽費 | 20,000 | 趣味や娯楽、交際、旅行、小さな贅沢も含めて。 |
交通費 | 5,000 | 公共交通機関を中心に利用。車なし想定。 |
被服費 | 3,000 | 必要に応じて、最低限の買い替えで。 |
交際費 | 5,000 | 友人や親戚とのつきあい、冠婚葬祭など。 |
予備費(不定期) | 10,000 | 医療費の急な支出、家電の故障など備えとして。 |
💡 合計:約130,000円〜150,000円/月
生活の質や習慣、地域によっても前後しますが、「安心して暮らせる最低ライン」は月13万円程度。
趣味や旅行などを少し楽しみたい場合は、月15万円〜17万円ほどが現実的かもしれません。
公的年金だけで足りるの?
公的年金がどの程度生活を支えてくれるかは大きなカギです。
-
夫婦2人で国民年金+厚生年金がある場合、月20万円前後が支給の目安。
-
単身で国民年金のみだった場合は、月5〜6万円くらい。
生活費との差額が月5万円だとすれば、年間60万円、20年で1,200万円必要という計算になります。
老後の生活費にいくらかかりそうかをシミュレーションしながら、どの位、不足分が発生しそうかを予めイメージしておくのは大切かもしれません。
差額をどう埋める? これからの備え方
今のうちから備えをしておくことで、「なんとなくの不安」はグッと減らせます。
💰 iDeCo・つみたてNISAを活用する
長期・分散・積立で、時間をかけてコツコツ増やす資産形成。
少額からでも始められ、非課税のメリットもあるため、老後の資金づくりにぴったりです。
私も月々数千円から始めていて、今ではそれなりの安心材料になっています。
📱 家計管理アプリで「支出の見える化」
マネーフォワードMEなどを使えば、銀行やカードの入出金も一目で確認できます。
「何にどれだけ使っているのか」が見えると、自然と使い方に意識が向くようになります。
💼 “ゆるく働く”という選択肢
最近では、シニア層向けのパートや、在宅の副業も増えています。
「月3万円だけでも稼げれば、かなり安心できる」という声も。
好きなことを仕事にできれば、生活のハリにもつながります。
お金だけじゃない。暮らしの“安心材料”
お金のことを考えるとき、同じくらい大切なのが「お金以外への備え」です。
■ 健康の維持
病気やケガをすると医療費がかさむだけでなく、生活そのものが制限されてしまいます。
ウォーキングやストレッチなど、毎日の小さな習慣が結果的に「お金の節約」につながることも。
■ 人とのつながり
高齢になるほど、孤独感や疎外感が生活の満足度を左右します。
趣味やボランティア、近所付き合いも大切な“心の資産”です。
■ 安心できる住まい
バリアフリー化やリフォームなど、「自分が安心して暮らせる環境」づくりも、
老後の生活の質を大きく左右します。
まとめ
老後の備えというと、「大きなお金を準備しないと…」と構えてしまいますが、
実際には、「自分の暮らしを把握して、小さく備えていく」ことが一番の安心につながります。
✅ どれくらい使っているのか
✅ どこで節約できるか
✅ 何を楽しみにしたいのか
これらを一つひとつ“見える化”していくことで、
老後の生活も、もっと自分らしく、安心できるものになるはずです。